アンガスのお仕事
「ご馳走さまでした、美味しかったです」
「ん~…」アンガスさんはポムワインの飲み過ぎで机に突っ伏して寝ていた。
「アンガスは仕方ないやつだな」アンテルムさんが飽きれる。
「ところで探索に興味があるって本当か?」
私は騎士であるアンテルムさんから魔獣の話を聞いて興味が湧いたのだ。
「はい。こう見えても僕は剣術には自信があるんです。ただ体力はないので鍛えたいなと…付き合ってもらえませんか?」
「うーん…困ったな。私はチヤ君が入れない森の担当だから持ち場を離れられなくて」
「それじゃアンガスと探索に行けばいいじゃないか」背後から声が聞こえた。振り向くと王冠をかぶった人…オスキツ国王が立っていた。私は急いで起立し、頭を下げた。
「あ、かしこまらないで」
オスキツ国王は、末っ子の王子であるアンガスの享楽的な生き方を憂いていた。そこで、旅人である私の国内の案内人と探索への付き添いを命じることにしたのだ。
「アンガスにそんな大役、大丈夫かなぁ…」アンテルムさんは不安そうだ。私も不安だった…。
*
う…頭が痛ぇ…アンガスは頭を押さえる。昨晩はポムワインの飲み過ぎて二日酔いになったのだ。食欲もないが、家族そろって朝食をとるのが我が家のルール。
「あーあ、何しようかなーまじめに仕事しちゃおうかなー」
今日のオレはいつもにも増して適当さに磨きがかかっている。
「アンガスの仕事は旅人への案内と探索だよ」
「へ?」オレは父の言葉を聴き直した。
「それがお前の仕事だよ」
何それ聞いてない…けど、国王の命令は絶対だ。