身バレ
「!」
アンガスさんに押し倒されている。
(あ、フード!!)
気がついたときにはもう遅かった。
「やっぱり女の子だ」
頭の上で両手を押さえつけられ、アンガスさんのもうひとつの手は私の髪に触れる。
「性別を偽って、綺麗な髪を隠すなんてもったいない」
彼の精悍な顔が私の首筋に近づく。
「こんなに小さくて華奢で…今までちゃんと眠れてなかったんでしょう?」
首筋にあたたかく柔らかい唇の感触。
「これでも自分の身は自分で守れると言える?」
あっという間に組み敷かれ、悔しさから言葉にならない。
『オレが守るよ』『今まで眠れてなかったんでしょう?』
彼の言葉が頭をループする。過ごした時間は少ないのに、この人はどうして私のことをわかったようなことを言うの。
「か、帰ります」ようやく絞り出した言葉。
「ねぇ、オレが騎士になったらこの国に残ってよ」
(すごく真剣な瞳、この人の望みは何?)
「キミが笑って、そして安心して眠れるようにしたい」
まっすぐ見つめられ、心の中を読まれている気がして顔を逸らす。
「森の小道も踏破できなかったくせに」精一杯の反発。
「はは、ひどい言われようだ」掴まれた手が緩められた。
身体を起こしてフードを被せられる。
「女の子ということは内緒にするけど、これからチヤって呼んでいい?」
「お好きにどうぞ」
「そうだなーオレのことはお兄ちゃん♡って呼んでよ、男同士なら違和感ないでしょ?」さっきまでの真剣な表情は消え、悪戯な笑みをしていた。
「却下です、それに私はこう見えても6歳です!」