エルネア王国ガイド

ワールド・ネバーランド「エルネア王国の日々」攻略・まとめ・プレイ日記

 

久しぶりの外は眩しくて眩暈がする。

アンテルムさんがもうすぐ居室を出るというので、オスキツ国王たちとハーブ摘みに出掛けることにした。

 

(最後の思い出を私にください)

 

家まで迎えに来てくれたのはヴィクトリア王妃とテレーゼ王太子。しかもできたての差し入れを持って。

 

「ちゃんとご飯を食べてね。ずっと外に出てなかったでしょ?」

「そうよ、うちの息子たちを見習って大きくなりなさい」

 

 (私にお姉さんやお母さんがいたらこんな感じなのかな…) 

 

2人が差し入れをくれたのは何も今日だけではない。アンガスさんが気を利かせて2人に話してくれていたみたい。私が外に出なくなってから何度か様子を見に来てくれたのだ。

 

そのたびにドアから顔を覗かせて食事を受け取るだけの対応をし、改めて非礼を詫びた。

 

「今までごめんなさい…」

 

優しさに触れれば触れるほど、性別を偽って…嘘をついて接することに胸が苦しくなってくる。

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農場につくと皆が勢ぞろいしていた。

あの国王でさえ、無邪気にハーブを摘んでいる。

 

「チヤ君、こっちにたくさん実がなっているぞ」オスキツ国王が私たちを呼ぶ。

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「アンガスはもっと丁寧に、真面目にやれ」

「兄貴は細かすぎるんだよ」

久しぶりに二人の顔を見る。

 

私に気が付いた2人は一瞬、驚いた顔をしたが何も言わなかった。

ティムさんは「チヤ君、久しぶりだね」と微笑みかけて、蝶に構っている。

 

なんてことない、王族の…家族の日常。


温かさに触れて、急に自分がいてはいけない感覚に陥る。
私はこの優しい人たちを騙す異質な存在。

 

──『少しでも罪悪感があるならこれから身の振り方を考えるんだ』

アンテルムさんの冷たい声が頭をよぎる。

 

これ以上、仲良くなってはいけない。

優しさに甘えてはいけない。

辛くなる前に旅に出なきゃ…

 

ハーブを摘む手にぽたぽたと水が落ちる。

 

──雨?

 

違う、涙だ。


感情が高ぶるなんてどれくらいぶりだろう。親と死別し、故郷を追われたときも涙は出なかった。

 

親の死に目に会えなかったから実感もなかったし、今日まで必死に旅をしてきた。泣くことなんて──。

 

「チヤ君?」

 

国王から名前を呼ばれても涙は止まらなかった。

 

「ごめんなさい!ごめんなさいっ」

もはや何に対して許しを請うているのかもわからなかった。

 

涙が堰を切ったように流れ出す。