アンチノミー
カッとなって悩めるアンガスを描き/書きました。華やかな生活の裏で心に闇を抱えてそうな感じ、好きィ!※私の勝手なイメージです。
「アンガス君、あの…す、好」
あー、まいったな。また愛の告白ってやつだ。
「またデートしよ、ね?」
オレはとびきり甘い声で先制をする。
「うん…」
「よし、いい子」
仕上げに頭をぽんぽんと撫でて、ウインクすればこの場は収まるんだ。
*
女と別れ、日が暮れて薄暗くなってきた部屋の中。
ベッドに身を投げ出し、アンガスは一人思いを巡らせていた。
「好き、か」
女性から何度、聞かされた言葉だろう。
どうせオレのことなんて顔でしか見てないくせに。
ま、今のところ王子という肩書に胡坐をかいて生活しているんだからそりゃそうか。
ああ、退屈だな。
変わりたいと心の底では望みながらも、手遅れだと諦めていた。
だからオレを変えてくれることを"相手に求めて"しまう。
── 誰も相応しくない。
── オレを高揚させる人がいない。
オレから生まれた渇望は自分だけでは処理しきれるものではなかった。その欲求のはけ口を求め始める。
明日は、誰とデートしようかな……。
はぁ、と小さくため息をついてまどろみに身を委ねて瞼をそっと閉じた。