悩みの種。
アンテルム「チヤさん、試合に勝ったんだ」
チヤ「おめでとうございます!来年もきっと騎士隊長ですね」
しばらくアンテルムさんと武術について話していると日が暮れた。
アンガス「チヤ、夜も遅いよ。一緒に帰ろ」
アンガス「チヤはオレが騎士のほうがよかった?」
チヤ「私と付き合うために騎士隊に入ってくれたことは嬉しかったですが、アンガスさんは今のままでも好きです」
アンガス「無理に好きだって言わせたみたいだけど、安心したよ」
つないだ手も、噴水通りの家の灯りも暖かい。
アンガスさんは帰るなり、娘のエナにデレデレなのです。
アンガス「エナは変な男にひっかかるなよーパパみたいな人と結婚するんだよー」
チヤ「えっ」
アンガス「えっ」
今日はアンガスさんの誕生日。何も準備していなくて慌てて市場に向かう。
アンガス「おーい!チヤ、慌ててどうしたの?ご飯も食べてないじゃん。ほら、これ。ちゃんと食べなよ」
チヤ「あの…プレゼントとケーキの準備を…アンガスさんの誕生日だから…」
アンガス「あ!!」
というわけで、仕切り直し。誕生日おめでとう、アンガスさん。
誕生日祝いを終えて、畑に出ると子供たちがわらわらと集まる。いろんなものを植えているし、見学かな?
子供たちの対応に追われていると……
アンガス「オレの誕生日だし、もうひとつプレゼントちょうだい」
キスもしてご満悦なのか、どこかへ向かったアンガスさん。
アネット「見たよ!すごい幸せそうだね、ごちそうさま」
チヤ「まだ照れてしまうんですけどね、少しだけ慣れてきました」
私からしたらアンガスさんのほうが嬉しそうですよ。
*
テレーゼ様のところの長男で王太子でもあるスタニックくん。彼は結婚が出来ない山岳兵と女性と付き合っている。ある日のこと…
スタニック「チヤさん、これプレゼント」
チヤ「ちょっとスタニックくん、こういうのは好きな人に…(はっ!)」
スタニック「好きな人か…意味がないんだ……贈り物なんて……まだあるから受け取ってよ、チヤさん」
スタニック「どうしたらいいんでしょうね、僕…」そう弱弱しくつぶやく。
本来『とっても謙虚』な性格のスタニック君が、こんな行動にでるなんて思いつめてるように思えて…向こうからアンガスさんが私を呼ぶ声が聞こえる。
アンガス「チヤ、あっちに行こう」
チヤ「でも…スタニック君が心配だよ」
アンガス「……」
*
悩みの種は続く。
ヴィクトリア「最近なんだか昔の事を思い出すよ」
ヴィクトリア「孫のスタニックのことは心配だけど、アンガスがこうしてちゃんと生活しているのを見ると、きっと自分で解決するわ。チヤちゃん、皆を見守ってくれてありがとう」
チヤ「……」
ヴィクトリア「やだもう、湿っぽくなっちゃったじゃない。ほら、家まで送るよ」
ヴィクトリア「エナちゃんが大きくなるまで長生きするから、元気を出すのよ」
私の背中を軽く叩くヴィクトリアさん。
チヤ「家まで送ります!!」
ヴィクトリア「これじゃアタシが家まで送った意味がないじゃない」
二人で笑いながら王家の居室に向かう。
アンガス「うちから二人が出て行くのを見かけたから迎えに来たよ、一緒に帰ろう」
アンガス「チヤ、大丈夫。オレがいるよ。チヤもオレのそばにいてくれるでしょ?」
チヤ「はい」