星の日のエナ様
朝のはずなのに暗くて、寝ぼけてるとおにいちゃんがお菓子を持ってきてくれた。あ、今日は星の日だ!
アンガス「足元に気を付けてね」
星の日でも畑の世話は習慣なので、パパと一緒に来てもらう。
エナ「我はエナさまであるぞ…」
この日のセリフがぴったりなのは私だけ。
アンガス「確かにエナはエナ様だよな。パパはエナにはなんでも捧げちゃうぞ」
エナ「もー!お菓子くださいっ」
あ、私をくさい呼ばわりした男の子だ。さっと、パパの背後に隠れる。
マンハリン「ワフ虫いっぱいですっげー!!」
パパに赤の他人の男の子からくさいって言われたことを気にしていることを伝えた。
アンガス「そのときのマンハリンは1歳だったんだし、しょうがないね。エナも仲良くなりたいのに、なんて話しかけたらいいかわからないときあるでしょ」
エナ「うん……わたしも自分から声をかけるのは苦手なの。パパありがとう」
パパと酒場でお別れするとソロモンさんが私を探していた。
ソロモン「エナちゃん、お菓子たくさんもらえてる?」
エナ「はいっ」
ソロモン「セオがエナちゃんを探してたから牧場に行ってみて」
牧場に行くとセオフィラスさんがワフ虫を眺めていた。
セオ「ここ、ワフ虫がよく見えるよ」
エナ「本当だ、きれいねー」
しばらく二人でお菓子を食べながら空を見上げる。
遠くでお昼を知らせる鐘の音が聞こえる。
エナ「あ!エナの子のコンテストを見に行かなきゃ、またね!」
セオフィラス「うん!またね」
*
セオフィラスさんとバイバイをして闘技場に向かうと、ちょうどヤニックさんがエナの子に選ばれていた。収穫祭の祈りで見かけてから少しだけ彼のファンなの。
わたしは闘技場を出てきたヤニックさんに白々しく声をかける。
エナ「あの……エナの子のコンテストは何時からでしたっけ」
ヤニック「もう終わってるから、誰が選ばれたかは掲示板を見てみるといいよ」
エナの子に選ばれたのにひけらかすわけでもなく。これが大人の男性か……
*
エナ「そ、それじゃあお菓子をください」
ヤニック「え、ごめん。お菓子を用意してない」
エナ「じゃ、天罰です!」
ヤニック「アハハ、エナちゃんやめ……!」
エナ「え!?ば、ばれてる」
ヤニック「わかるよ、収穫祭に……あ!待って!」
わたしは急激に恥ずかしくなって逃げるようにその場を立ち去った。