うぶ対うぶ
騎士隊長の居室に戻り、アンテルムはティナにタオルを差し出す。
アンテルム「私は仕立屋にいってくる。このタオルで身体を拭いて」
ティナ「ありがとうございます」
*
アンテルム「女性の国民服を一着。サイズはわからないので、いくつか見繕ってくれ」
マツリ「きゃー!!騎士隊長様が女性の服を!?」
カガリ「なんだか……あやしい……もしかしたら、あの子……」
マツリ「あーあの可愛い通い妻ね!なら、このサイズをどーぞ!」
毎朝、酒場からエルネア城に向かうティナをこの二人が見逃すことはなかった。
アンテルム「……」
*
アンテルム「ティナさ……」
暖炉の炎に照らされたタオル姿のティナさんがひどく艶めかしい。童顔といってよいあどけなさが残る少女だと思っていたが、タオル姿からもわかる女性的な体つき。
『通い妻ね』
カガリとマツリの余計な一言を呪った。
──冷静になれ、冷静になるんだ。心頭滅却すれば火もまた涼し……。ワ国の呪文と言われる言葉をぶつぶつとつぶやく。
立ち尽くすアンテルムに気がついたティナが彼の元に駆け寄る。
ティナ「アンテルム様!!アンテルム様も早く鎧を脱いだほうが鎧が傷まないと思います。お手伝いさせてください」
タオル姿でアンテルムの鎧を脱がそうとする彼女の強引さに押され、さっさとこの状況を終わらすために鎧に手をかけた。
アンテルム「っく……濡れてて取れにくい。後ろのひっかけをはずしてくれないか」
暖炉近くのソファに腰掛けて、彼女に背を向ける。
ティナ「はいっ」
鎧を脱がすティナと妄りがわしいことをしているように錯覚しそうになるが、なんとか理性をフル活動して冷静になる。
ティナはティナで、アンテルムの鎧上半身部分をやっとの思いで脱がせたところで、その引き締まった身体が視界に飛び込み現実に引き戻された。
アンテルムの厚い胸板や、うっすらと浮いた腹筋の筋が柔らかな陰影を作り出している。そして自分はタオル姿だ。
ティナ「きゃぁ!!アンテルム様の身体!!」
アンテルム「ああ、これはただの傷跡で……って顔が真っ赤だな。熱でもあるのか?」
ティナ「い……いえ、わわわ、わたくしも着替えてよろしいでしょうか?」
アンテルム「ああ、隣の部屋を使うといい。化粧台もある」