騎士と姫
エルネア杯開会式の国立闘技場は人が溢れていた。
アンガスやティムは出場しないものの、彼らは女性たちに囲まれて近寄れない。
(大勢の中で心細いですが、わたくしも一人で過ごせます)
ずっとアンテルムと過ごしていたティナは一人でいることに、すっかり不安を覚えてしまった。なんとか空いてる席を見つけて座ると、周囲の女性たちの声が聞こえる。
「アンテルム様、あの若さで出場なんて素敵だわ」
「私はアンガス様に抱いてもらえるならそれでいいかな」
「アタシは絶対にティム様!でも結婚なさるのよね」
三王子は有名で、ファンの多いことをティナは改めて実感する。
開会式が始まるとひときわ声援が大きいのはアンテルムだった。
ただ勢いでエルネアにきて、アンテルム様を困らせるようなちっぽけな存在。
──惨めな気分になる。アンテルム様から離れたほうが……
闘技場を後にしようと立ち上がると、背後から呼び止める声。
アンテルム「ティナさん!」
ティナ「アンテルム様……」
こんな広い場所で、大勢がいる中で、自分を見つけてくれた……それだけで胸が熱くなる。
開会式を終えたばかりの長身のアンテルムが一般席にいるだけで、目立つ。
さらに、アンテルムが突然、ティナの目の前でひざまずくものだから、誰もが試合そっちのけで注目している。
アンテルム「本当は龍騎士になってから、と思っていたがもう待てない。騎士になることも龍騎士になることも、すべてはあなたを守れる男になるため。ずっとティナさんが好きだった。私と結婚を前提に付き合ってほしい」
──『私だけの姫、ティナさん』そう言って、アンテルムは
わっと声があがったのはエルネア杯の一試合目を終えたからか、アンテルムのプロポーズのような愛の告白のせいかはわからないけど、こんな人混みの中でもまるで二人きりの世界になったような錯覚に陥る。ティナはアンテルムの見上げた真っ直ぐな瞳から目が離せなかった。それに応えるようにティナも自分の気持ちを伝える。
ティナ「わたくしもアンテルム様の言葉、優しさのすべてが愛おしいです。小さい頃の夢を叶えてもいいですか?」
──アンテルムは力強く頷いた。
ティナ「わたくしをアンテルム様のお側に置いてくださいませ」
それは幼き頃に読んだ絵本のようにスマートなものではないけど、遠回りで不器用な
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アンガス「目立っててアンテルムってオレよりキザじゃね?」
ティム「いいものを見せてもらいましたね」
終
いやぁ、アンテルムとティナの妄想話に22日間もお付き合いいただきまして、誠にありがとうございます。 感想文(匿名可)など頂けると今後も妄想の励みになると思います。お題箱でもマシュマロでもどうぞ。マシュマロはTwitterでレスされますのでご注意をば。
この話を書き始めたのは、アンテルムを幸せにしたかったからです(きっぱり)!しかも育ちの良い何も出来ないくらいお嬢さんであるティナと。ライバルなんかいらない。二人で不器用に、真っ直ぐにイチャコラしてくれ!それが私の脳内でした。ティナはこれからアンテルムにいろいろ教わっていくんでしょうね、いろいろ(意味深)。
ん~麗しい集合写真。縁故がある設定なので顔も似せてみました。
にしても見てください。兄デューイの変貌を。彼はオスキツに降り立ってからのプレイヤーキャラ(途中でティナにバトンタッチ)なのでそれなりに愛着あったりします。
何が言いたいかわからないままだけど、これまで作中で回収してない伏線はないよね?
次はティムの恋愛話を書きたいねぇ。なんか閃かないかなぁ。アンガス×チヤが2018年、アンテルム×ティナが2019年に書いたので来年かな?
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以降の更新は気まぐれになるかと思いますが、引き続き二人をどうぞよろしくお願いします!それではありがとうございました!