脱・優等生?
アンテルムはティナを起こさないよう、静かに朝食の準備をして居室をでた。
玉座の間にはオスキツ陛下、ヴィクトリア王妃、神官、騎士になったばかりのアンガスとティム、そして騎士隊長のアンテルムが揃う。
オスキツ「今年は白夜だ。そして本日は開会式だが──」
オスキツがひとつひとつ開会式の準備の説明をする。
アンガス「え……」
オスキツの話を聞く集中力が切れたアンガスが目にしたのは、騎士隊長の居室の扉をあけて、きょろきょろと誰かを探している様子のティナだった。
その服はアンテルムの部屋着……
アンガス「ティナ、朝帰りとかやるじゃん」
「「「えっ」」」
みんなが騎士隊長の居室に視線を向ける。
アンテルム「ティナさん!!身体は平気なのか?」
アンガス「え、マジでそんな関係になったの?」
アンテルム「父さん、すまない。準備については事前に頭に入ってる。すぐに戻るから気にせず進めてくれ」
オスキツ「わかった。今はティナを優先しなさい」
アンガス「えー!アンテルムずるくない?オレだったら説教コースじゃん!」
ティム「それは日頃の行いだろう……」
*
アンテルム「ティナさん、大丈夫なのか?」
ティナ「おかげ様でもう平気です。起きたらアンテルム様の姿が見えなくて不安になってしまって」
アンテルム「……」
チラチラと背後から家族の視線を感じたアンテルムは、ティナを居室の中に入るよう促して扉を閉める。
アンテルム「ティナさん、そういう言葉は誤解する」
ティナ「わたくし、昨日の言葉も本当です。熱のせいなんかじゃありません。アンテルム様、避けないでください!」
アンテルム「わかった、私の気持ちを伝えよう。今晩、国立闘技場にきてくれ」
ティナ「決闘ですか?わたくし勝てる自信ないです」
アンテルム「違うよ、ティナさん……とにかく今はきちんとご飯を食べなさい」
ティナ「……はい」
アンテルムが玉座の間に戻ると開会式の予行は終わっていた。
アンガス「大丈夫だった?」
アンテルム「ああ」
アンガス「アンテルムの大きいし、オレもティナが心配だ」
アンテルム「何の話だ」
ティム「アンガス君、
アンテルム「……」