森で出会ったのは
ティナは朝早くに目を覚まし、図書室に行く支度をした。
(アーちゃんと出かけると注目を浴びるし、ティムさんと二人で会いたいの)
ティナ「ウィアラさん、図書室に行きますのでアンガス様がいらしたらお伝えいただけませんか」
ティナは酒場を取り仕切るウィアラさんに一言残す。
ウィアラ「ええ、わかったわ。いってらっしゃい」
*
(えっと、この道をまっすぐね)
橋を通ったところに、図書室があるというわずかな記憶を頼りに歩く。
川の上流から吹いてくる木枯らしには、豊かな森の匂いが溶けていた。
(図書室は橋を渡った森の近くだったような気もするけど)
歩を進め、
不気味な森──そう思った瞬間、意思を持ったような
「痛っ」
スカートが裂け、白い脚から鮮血が滲む。
恐怖と痛みで身動きがとれないでいると、さらに茂みの奥から血の匂いに引き寄せられた魔獣が唸り声を上げてジワリジワリとティナを囲う。
(嫌、誰か助けてっ──)
???「今助ける!!」
遠くから男性の声が聞こえ、振り向くと素早い剣さばきで魔獣を斬り倒していく騎士の姿が見えた。騎士に抱きかかえられるところでティナは気を失った。